NYの外国人労働者の現実を描いた映画「リベリアの白い血」の感想

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外国人労働者を描いた映画「リベリアの白い血」1

アフリカの西にあるリベリアから、豊かさを求めニューヨークに移住した男のリアルを描いた映画「リベリアの白い血」の概要・あらすじ・感想です。

※ネタバレあります。

概要

原題:Out of My Hand
上映時間:88分
制作年:2015年
制作国:アメリカ
監督:福永 壮志
主演:Bishop Blay

日本では2017年に全国で劇場公開され、2018年にはDVDもリリースされました。

監督の福永壮志は、北海道出身、ニューヨーク在住の日本人で、長く映画製作に携わる1982年生まれのクリエイター。

「リベリアの白い血」は初の監督作品ですが、デビュー作ながら世界でも高い評価を得ており、

  • ロサンゼルス映画祭 最高賞受賞
  • ベルリン国際映画祭 パノラマ部門正式出品
  • インデペンデント・スピリット・アワード ジョン・カサヴェテス賞

など数々の賞を受賞しています。

あらすじ

アフリカ大陸の西に位置する国「リベリア」のゴム農園で働く男シスコ(Bishop Blay)が主人公。

真面目に働き、家族にも恵まれる男ですが、将来の見えない過酷な労働の中で不満を募らせていました。

不当に搾取する雇用主に対し、仲間たちと労働環境の改善に立ち上がるが、状況は変わらないどころか悪化してしまいます。

無力感に苛まれる中で、ニューヨークでタクシードライバーとして働く従兄弟マーヴィンへの憧れを強めていきます。

マーヴィンのリベリア帰省をきっかけに、ついにシスコは豊かさを求め、単身ニューヨークへの移住を決意します。

ニューヨークのリベリア人コミュニティと関わりながら、タクシードライバーとして働き出します。

しかし、コミュニティで過去に同じ兵士として戦ったジェイコブと予期せぬ再会をし、ニューヨークに来ても忌々しい過去がシスコを付き纏います。

移民(外国人労働者)の現実に混乱・動揺しながら、忘れたい過去に付き纏われながら、シスコが大都会ニューヨークに順応していく様を描いたドキュメンタリー風の映画です。

感想

映像の美しさ

外国人労働者を描いた映画「リベリアの白い血」2

リベリアの豊かな自然、大都会ニューヨークなど情景の映像美が素晴らしいです。

そして、ドキュメンタリー風の撮り方も映像美を際立たせています。

ゴムの樹液を淡々と採取する長いシーンがあったり、洗車中のタクシーの車内をワンカットで撮るシーンがあったり、セリフも無いのに人物の心模様が伝わってくる美しいシーンがいくつもあります。

豊かな人間内面の描写

外国人労働者を描いた映画「リベリアの白い血」3

役者たちの演技や表情が素晴らしく、セリフ(言葉による説明)が少ない映画なのに表情や背中が多くを語ってくれます。

そんな作風もドキュメンタリーっぽさを際立たせる要因となっています。

この映画では、貧困や差別、戦争(内戦)や都会の孤独など、世界の有り様と移民の現実を脚色することなく、また包み隠す事なくリアルに描かれています。

そして、それらの問題に葛藤するシスコの胸の内が痛いほどに伝わってきます。

ドラマティックな展開はほとんど無く、まるでドキュメンタリーの様に映画は進んで行きます。

淋しさから間違いを犯してしまう弱いシスコ、同郷の金持ちの施しを断固として断る気高いシスコ、どれも本当のシスコなんだろうなぁと思います。

そして、ニューヨークには、いや世界にはシスコの様な人がどれほどいるのだろうか…

そんな事を考えさせられます。

投げかけられる問い

外国人労働者を描いた映画「リベリアの白い血」4

リベリア人でもアメリカ人でもない日本人の福永監督だからこその客観的な視点。

そして、映画の本場アメリカに単身で渡り叩き上がった福永監督だからこその主観的な視点。

複数の角度から絶妙なバランスで、現実味のある表現を視聴者に突き付け、様々な問いを投げかけます。

  • 希望の見えないリベリアの労働環境
  • 大都会ニューヨークの光と闇
  • 貧しくともリベリアにいた方が幸せだったんじゃないだろうか
  • 真面目で純粋なシスコが過去に犯したおぞましい罪
  • そうさせてしまった戦争(内戦)の愚かさ
  • それでも逞しく生きる人間たち

リベリアで淡々とゴムの原料を採取するシーンに始まり、やがてまたニューヨークで淡々とゴムのタイヤを交換するシーンで映画は終わります。

結末のない、ましてや希望的な展開などない場面です。

観た人がそれぞれ、何かしらの問いを投げかけられる映画ではないでしょうか。




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